多汗症には漢方が効くのか
多汗症には漢方が効くのか
他の病気に原因がない原発性多汗症は、現代医学では原因不明のままで治療されます。
よって、対症療法になります。
もちろん、遺伝的な影響があるとか、精神性発汗であるとかある程度わかっていることもあるのですが、発汗の仕組みは解明されているけれど、そこにどうして異常が起こるのかは、わかっていません。
漢方の体系は、西洋医学をベースにした現代医学とはまったく別の体系です。
漢方では体力や抵抗力を示す「証」と、具体的な症状の「気・血・水」を診断して、ひとつひとつに複数の効果が期待される生薬を組み合わせて処方されます。
漢方は室町時代以降は日本で独自の展開をしていますが、それ以前は中国伝来の進んだ医療でした。だから中医学とも呼ばれています。
漢方は、中国時代を通算すれば千年単位の人類の叡智と経験の蓄積によって、西洋医学的な原因がわからなくても、症状を改善することができます。
漢方は未病を治すともいわれますが、原発性多汗症でも治療の選択肢を広げることになります。
ただ「証」と「気・血・水」の見立ては、経験がものをいいます。
経験の豊富な漢方医にかかることが、何より治療効果をあげる秘訣だと思います。
精神性発汗
精神性発汗
発汗の種類は3つだそうです。
温熱性発汗、味覚性発汗そして精神性発汗です。
温熱性発汗は、体温を下げるために汗を体外に出します。
汗を出すことで、体熱も外にでます。
皮膚で汗が乾くと気化熱を奪うので、さらに体温を下げるはたらきをします。
発汗は体温調節のためには一石二鳥の方法になっています。
味覚性発汗は、辛いものを食べたときによくみられますね。顔や頭からドッと汗が出ることが多いです。人によっては、酸っぱいものに反応することもあります。
あまり理由はわかっていないようですが、辛いものを食べたら体温は上がりそうですからわかる気がします。
精神性発汗は、手のひら、足の裏からの汗が多いといいます。
緊張すると出やすくなるので、心の動きと密接なのですが、緊張すると汗が出ます。これは遠いむかし、天敵にあったときにパッと逃げるための滑り止めとして機能したそうです。
精神性発汗は「冷や汗」と言い換えることもできます。
大きな失敗をしたり、知られたくないことが明らかになりそうといった状況でかく汗が冷や汗です。が、特別差し迫った危機がなくても汗がとまらないことがあり、これを多汗症といいます。
温熱性発汗、味覚性発汗とは明らかに異なる状況で、大汗をかきます。
遺伝的な要素もあると考えられていますが、その仮説はまだ証明されてはいません。
汗をかく仕組みは、どのタイプの汗も同じで、脳の発汗司令が交感神経を通して抹消のシナプスにとどき、神経伝達物質のアセチルコリンが仲介して肝腺細胞に司令がとどくと汗が分泌されます。
この一連の流れが、必要以上に行われるのが多汗症です。とくに交感神経が不必要に興奮して多汗になります。
交感神経が不安定になる理由はさまざまです。
多くの場合は原因がわからない、原発性多汗症ですが、糖尿病、がんなど明らかに病気が原因になることもありますし、更年期などホルモンバランスの乱れでそうなりやすい時期もあります。